園だより愛光

4月の聖句

「わたしは良い羊飼いである。」    ヨハネによる福音書 10章11節

「 月 の 心 」

 イエス・キリストはご自分を「良い羊飼い」に、人間を羊に譬えられました。そして、良い羊飼いの特徴を、第一に、羊のために命を捨てる(それほどまでに羊のことを心にかけている)、第二に、羊を知っていて、羊もわたしを知っていると語られました。
 平たく言えば、よい羊飼い(イエスさま)は、人間を本気で愛し、人間のことに深い関心を持っている、人間のためには命を捨てる用意さえあると言われたのです。神の子であるイエスさまが、そこまで人間を愛しておられるというのは、わたしたちにとって大きな慰めであり、希望の源です。
 神さまと人間の違いは、この「良い羊飼い」をキーワードとして考えるとよく分かります。人間はなかなか良い羊飼いにはなれません。他者のために命を捨てるなど、とてもできません。逆に、他者を自分の利益のためであれば、すぐに利用し、傷つけ、命さえも奪ってしまう、人間の底知れぬ罪深さに、わたしたちは薄々気がついています。
 戦時中、大阪の天王寺動物園にリタという人気者のチンパンジーがいました。彼女はとても頭がよくて、竹馬や自転車を乗りこなし、フォークとナイフで食事をすることもできました。多くの人々がリタを見るために天王寺動物園に押し掛けました。これに目をつけたのが軍部です。夫のロイドと共に軍服を着せ、「お国のために」と戦意高揚に利用しました。軍服姿のふたりの写真が多数残っています。そのどれもが悲しそうな表情に見えます。リタは赤ちゃんを身ごもりましたが、1940(昭和15)年7月23日に死産、翌日、本人も亡くなりました。彼女の死を悼んで建てられたリタとロイドの像が、天王寺動物園の片隅に、今もひっそりと立っています。
 リタとロイドは、人間が「良い羊飼い」ではないことをわきまえて、わたしたちが謙虚に子どもに向き合っていくように訴えかけているのだと思えてなりません。わたしたちの務めである、子育てや保育というのは、一筋縄ではいかない大きな課題です。子どもと本気で向き合い、その子自身がみずから育つ力を信じながら、その子らしく豊かに育んでいくということ、簡単ではありませんが、「良い羊飼い」であるイエス・キリストをお手本としながら励みたいと思います。
 イエスさまの言われた通りにはできませんが、そこを目指すことは出来ます。子どもたち一人ひとりを、こちらの命に代えても守り抜くくらいの意気込みで、本気で愛し、大切に育んでいくのがわたしたちの大人の変わらない使命です。そのために、保護者の皆さんと園が協力し、支え合って共に歩んでいきたいと思います。新年度も、深刻なコロナ禍がまだ続きますが、どうぞよろしくお願いいたします。

(牧師・園長 平山正道)

トップページへ戻る