園だより愛光
5月の聖句
「主よ、お話しください。僕は聞いております。」
(サムエル記 上 3章9節)
統一地方選挙が終わりました。愛光幼稚園は、大津駅が近いこともあり、選挙カーの大音量にうんざりさせられる日々でした。終わってホッとしています。
それにしても、選挙なので当たり前ですが、各候補者の主張が立派すぎて、ひねくれ者のわたしは素直に聞くことができないと何度も白けた気分になりました。「わたしが…を実現しました」とか「当選の暁には、…を実現します」。そのような発言を聞くと、それは本当?あなたが一人でできるの?と問い質したくなってしまうのです。
自己主張の強さも、ある程度必要なのでしょうが、それがあまりに強すぎると、周囲との軋轢が生まれます。ひるがえって、自己主張と言えば、子どもの特質でもあります。子どもたちも、園生活の中で子どもらしい自己主張を繰り広げています。そして、やがてぶつかります。お互いに自己主張を曲げない時です。それでも、しばらくすると、いつの間にか仲直りしているのを目にします。子どもたちなりに、折り合いをつけ、対立を乗り越えていくことができているのです。人間には、自分とは異なる他者と和解していく力があると、わたしは信じています。子どもたちの姿に毎日接していてたどり着いた確信です。
聖書は、人間が自己主張に凝り固まり、傲慢になってしまうことのないように、しばしば警告を発しています。自分の思いを主張するのも大事だけれども、その前に、まず神さまの御声を聞きなさいと。5月の聖書の言葉も、その一つです。これは、祭司エリが、まだ幼い子どものサムエルに、夜中に神様のみ声が聞こえた時には、怖れずに、このように答えなさいと諭した時の言葉です。
たとえば、聖書には「互いに愛し合いなさい。」(ヨハネ伝13:34)という言葉が繰り返し出てきます。今の時代にも、わたしたちが聞くべきとても大切な言葉です。これをみんなが謙虚に聞いて、自らを律していくことができれば、戦争など決してできないでしょう。銃口を向けている相手のことを、愛さないといけないのです。敵だから殺せばいいなどと、神さまはおっしゃいません。愛すのです。そのようにして、聖書の言葉を丁寧に聞きながら、自分の生きる道を選び取っていくことが、わたしたちの人生の大切な課題なのです。
子どもたちにも、自己主張を越えたところで聞こえてくる、神さまのみ声にしっかりと耳を傾けて生きることのできる、懐の深い人に育っていってほしいと心から願っています。
(牧師・園長 平山正道)
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