【10月の聖書の言葉】
「あなたがたはそれぞれ、賜物を授かっているのです。」
【新約聖書 ペトロの手紙 一 4章10節)
「月 の 心」
聖句の中に「賜物」(たまもの)という少し古めかしい言葉があります。ふだんあまり使いませんが、聖書には繰り返し出てきます。新約聖書に限っても、30回以上出てくるのですが、ギリシア語原文では「カリスマ」という言葉です。「カリスマ」と聞くと、何か曰くのあるカルト宗教の教祖を思い浮かべる向きもあるかもしれません。でも、もともとの意味は、神さまがわたしたち一人ひとりに与えてくださっている能力や力のことを表します。
神さまは恵みとしてわたしたちそれぞれに、いろいろな賜物を与え、守り導いておられます。しかし、わたしたちはその事実を疑い、自分を低く見てしまいがちです。自分には、知恵も力もない、ダメな人間だ、それに比べあの人は何でも上手にできる、羨ましい……などと不満を募らせたりします。それは、神さまからいただいている賜物を認めず、不必要に自分を卑下している不遜な態度です。
みんな「それぞれ、賜物を授かっている」のです。確かに同じではありません、「それぞれ」です。一人ひとりに異なる賜物が与えられている、だから、それぞれ豊かな個性を持っているのです。みんな違うから面白いのです、楽しいのです、素敵なのです。
あの有名な詩を思い出します。
「わたしが両手を広げても、お空はちっとも飛べないが、
飛べる小鳥は私のように 地面(じべた)を速くは走れない
わたしが体をゆすっても、きれいな音は出ないけど
あの鳴る鈴は私のように たくさんは唄を知らないよ。
鈴と、小鳥と、それから私、みんなちがって、みんないい。」
金子みすゞの『私と小鳥と鈴と』、最後の言葉には10月の聖書の言葉に通じるメッセージが込められています。「みんなちがって、みんないい」のです。わたしたちの違い、それは神さまがお与えくださっている賜物が異なるから違うのです。それぞれの持ち味があります。一人ひとり、そのままで素敵に輝いています。その輝きを大切に愛おしみ、育んでいくわたしたちでありたいと思います。 (牧師・園長 平山正道)
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